もしかしてブラック企業?会社を辞めたい場合に確かめるべきこと
社会には「休みが少なく残業ばかり」「ハラスメントされる」など、働きやすさとは無縁の職場が存在します。もしかしたらその会社は、 ブラック企業かもしれません。職場で心身ともに疲れ果てた結果、「会社に行きたくない、辞めたい」と思っている人もいるのではないでしょうか。この記事では、ブラック企業の特徴や会社に請求できること、さらにブラック企業をスムーズに辞める方法などを紹介します。今まさに会社を辞めたいと考えている人は参考にしてみてください。
目次
1.ブラック企業の特徴とは?
ブラック企業で働きたくないと考えるのは自然なことですが、辞める前に「勤め先が客観的に見てブラック企業かどうか」を確認しておく必要があります。ここでは、判断の材料となるブラック企業の特徴をご紹介します。
1-1. 休みが少なく有給休暇も取れない
ブラック企業によくある特徴としてあげられるのが、 休日が少ないことです。1年は約52週間ですので、週休2日に年末年始や祝日などの休みを加えれば 120日前後の休日があるのが一般的です。この数字と比較すると、年間休日が100日以下の場合は少ないといわざるを得ません。 80日以下であれば、ほぼ確実にブラック企業だといえます。また、休日出勤が当たり前の会社もブラック企業だといえるでしょう。
有給休暇の取りやすさも目安のひとつです。会社は、社員が有給休暇を取りたいと希望したときに拒否することはできません。 有給休暇を一方的に却下するような会社はブラック企業である可能性が高いでしょう。また、休んだ社員の悪口を言うなどして有給休暇を取りたいと言えない、言いづらい雰囲気を作っている会社もブラック企業だといえます。
1-2. 長時間労働や過重労働をさせられる
長時間労働や過重労働もブラック企業の特徴です。残業時間は 1カ月あたり80時間が「過労死ライン」と呼ばれ、これを超えると健康被害のリスクが高まるといわれています。1カ月に20日出勤するのであれば、1日4時間の残業で1カ月あたり80時間になります。過労死ラインの残業が何カ月も続くような会社はブラック企業だといえるでしょう。
そもそも労働基準法では、労働者に 法定労働時間を超えての労働(法定時間外労働)をさせるためには 36協定を締結するように定められています。36協定では、残業時間の上限が1カ月あたり45時間、年間で360時間までとなっており、80時間はかなり多いことがわかります。残業だけではなく、早朝出勤をさせられる、休憩が取れないといったことがあればそれも判断基準に含めましょう。
1-3. 給料が低く残業代が出ない
労働日数や労働時間と同じように判断基準となるのが、 給与の低さです。特にブラック企業では、基本給が低いのに加えて残業代(時間外手当)を支払わないことが珍しくありません。そのため「1カ月の給料を実際の労働時間で割ってみたら、時給換算で最低賃金以下だった」ということもあり得るのです。
また、給料にあらかじめ定額の残業代を含ませておく「みなし残業(固定残業代制度)」を悪用するパターンもあります。本来なら定額の分を超えた残業代を支払う必要があるのに、支払わずに定額で長時間働かせる、というわけです。そのほか、「備品の購入費を社員に負担させる」など、会社でまかなうべき部分を社員の給料で負担させる会社もブラック企業だといえるでしょう。
1-4. 従業員の入れ替わりが激しい
長時間労働が当たり前で賃金が低いブラック企業には、 従業員が定着しません。給与が低すぎて生活できない、将来が不安だという人のほか、心身に不調をきたし辞めざるを得ない人もいます。そのため慢性的な人手不足に陥りやすく、常に新しい人材を募集しています。人手不足をカバーするために、応募があるとすぐに採用を決める傾向があるのも特徴だといえるでしょう。
さらに、従業員を簡単に切り捨てるのもブラック企業によくあることです。「気に入らない」など不当な理由ですぐに解雇したり、退職するよう仕向けたりします。中には「社内の輪を乱した」など一方的に事実と異なる濡れ衣を着せて退職へ追い込む悪質なケースもあります。 短期間で辞めていく人が多い会社はブラック企業の可能性が高いのです。
1-5. ハラスメントが横行している
パワハラやセクハラが日常的に行われ、それを周りの人が見て見ぬふりをしている会社もブラック企業だといえるでしょう。パワハラには殴る蹴るなどの身体的な暴力、暴言による精神的な暴力のほか、無視や隔離といった人間関係からの切り離しなどがあります。セクハラも体を触るといった身体的なものから、外見についてあれこれ言う、性的な誘いをかける、卑猥な画像を見せるなど幅広い事例が当てはまります。こういった問題行為を誰も止めない、周りが助長する、被害者がやめるよう訴えても無視する、という環境の会社は間違いなくブラック企業です。繰り返されるパワハラやセクハラに苦痛を感じて心身を病む人が増えれば、従業員が長続きしない原因にもなります。
2.ブラック企業を辞める際に請求できること
このようなブラック企業に対しては、 未払いの賃金や慰謝料を請求することができます。自分の勤め先がブラック企業の特徴に当てはまり、もう働き続けられないというときは、辞める際に会社へ請求することも視野に入れておきましょう。
2-1. 未払い賃金の請求
給与や残業代がきちんと支払われていないケースでは、 未払いの分を会社に請求することが可能です。しかし、こういった請求に応じないブラック企業は多く、結果的に泣き寝入りしてしまう人もいます。会社が支払いを拒否する場合は、会社あての請求書を内容証明郵便で送る、労働基準監督署に申告する、といった手段をとりましょう。
未払い残業代を請求するには、支払われるはずの残業代の金額を算出しなくてはいけません。そのためには日ごろから、 残業時間の証拠を残しておきましょう。タイムカードやパソコンのログイン記録、メールの送受信記録などが役に立ちます。タイムカードを押してから残業することを強制されているのであれば、タイムカードの記録と実際の労働時間の両方を残しておきましょう。給与明細もすべて保管しておきます。
2-2. ハラスメントや過労に対する慰謝料の請求
長時間労働で体調を崩したり、ハラスメントで肉体的・精神的な苦痛を受けたりした場合はそれに対する 慰謝料が請求可能です。過労やハラスメントで心身の健康を損なったときは迷わず病院にかかり、通院履歴や医師の診断書を残しておきましょう。暴力でケガをしたのであればその部分の写真を撮影します。ハラスメントを受けた場合は、内容や詳細を証拠として残しておくことが重要です。現場の状況をボイスレコーダーで録音する、嫌がらせやセクハラのメールを保存しておく、されたことをメモで残しておくなど、ささいなことでも記録をとるようにします。証拠が集まったら、それを持って 弁護士などの専門家に相談するといいでしょう。
3.ブラック企業をスムーズに辞める方法
ブラック企業を辞めると決心しても「裏切りだと罵倒されるかも」「報復されるかも」という恐怖から退職を言い出せない人は少なくありません。また、退職の意思を伝えても理由をつけて引き止められる、退職届を廃棄されるなどでなかなか辞めさせてくれないことも考えられます。こういったケースでは、 退職代行業者を利用することでスムーズに退職できる可能性があります。
退職代行業者はおおまかに分けると「民間業者」と「弁護士によるサービス」とがあり、民間業者は退職の意思を会社に伝えることはできますが、賃金や慰謝料の交渉はできません。「ブラック企業を辞めたいが報復が怖いので専門家に対応してもらいたい」「未払いの残業代や慰謝料を請求したい」という場合は、弁護士対応の退職代行業者を利用するのがおすすめです。
4.ブラック企業なら要注意!辞めたい場合は無理せず決断しよう
今回は、ブラック企業の特徴や会社に請求すべきこと、スムーズに辞める方法などをご紹介しました。勤め先がブラック企業の特徴に当てはまるのであれば、体や心の健康に被害が出る前に無理をせず、早めに見切りをつけることをおすすめします。また、ブラック企業を辞めるために退職代行業者を利用するときは、 労働問題に詳しい弁護士に対応してもらえるサービスを利用するといいでしょう。スムーズに退職できるのに加え、未払い賃金や慰謝料の請求といった直接言いにくいことにも対応してもらえます。