民間の退職代行と弁護士どちらが良い?メリット・デメリットを徹底解説!
目次
退職代行サービスの利用を検討しているけれど、民間の業者と弁護士のどちらを選ぶべきか迷っている人も少なくはないでしょう。どちらを選ぶかは、退職を考えるきっかけになったことや、どのような形で会社を辞めたいのかによって選択することが必要です。この記事では、民間業者と弁護士それぞれのメリットとデメリット、選択するポイントなどについて紹介しますので、退職代行サービスを選ぶ際の参考にしてみてください。
1.退職代行は弁護士じゃなくても問題ない?
非弁行為という弁護士法に違反する行為があります。退職代行サービスは、優良な業者であれば弁護士法に違反することはないため、弁護士資格がないからといって問題があるということではありません。ここでは、なぜ退職代行業者のサービスは非弁行為にならないのかについて解説します。
1-1 非弁行為とは?
弁護士の資格を持たない人が、報酬を受け取る目的で依頼者の代理人として交渉する行為を非弁行為といいます。退職代行サービスにおいての非弁行為とは、弁護士資格を持たない業者が報酬を得ることを目的として、依頼者の代理人として会社側と退職についての交渉行為をすることです。例えば、退職までの有給休暇の取得交渉、給与や残業代などの賃金未払い金の支払い交渉などのすべてにおいて「交渉する行為」は非弁行為となります。非弁行為は弁護士法72条に定められていて、「非弁活動」といわれることもある違法行為です。非弁行為を犯してしまうと、「弁護士法77条3号」で定められているとおり、罰則として2年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。
1-2 退職代行自体は非弁行為ではない理由
弁護士が関連していない退職代行サービスの業者であっても、すべてが違法とされる非弁行為となるわけではありません。退職代行サービスのメインとなる仕事内容は、依頼者が退職したいという意思を本人に代わって会社へ伝えることです。そのため、基本的に弁護士法違反とはなりません。ただし、有給休暇の消化や未払い賃金の支払い交渉、書類の代書などを行うことは非弁行為となります。また、退職届の作成や郵送に関しては、退職者本人が行う必要があります。しかし、退職届を郵送する、必要書類を送ってほしい、依頼者が有給休暇所得を希望しているなどの意思を伝えるだけなら違法行為とはいえないのです。
2.サービスを利用する理由によっては弁護士に相談したほうが良い?
退職したいと考えるきっかけは、人それぞれ違うものです。退職代行サービスを選ぶポイントとして、利用したい理由が会社に原因がある場合は、弁護士による退職代行サービスへ依頼した方が良いケースがあります。ここでは、サービスを利用するのが、自分に原因がある場合と、会社に原因がある場合のおもな理由について紹介します。
2-1 自分に原因がある主な理由
退職代行サービスを利用する理由が自分側にあるケースでは、会社に大きな不満があるわけではなく、自己都合という意味合いも少なくはありません。そのような場合は、できれば円満に退職したいと考えるでしょう。さらに、上司や同僚などにお世話になったという気持ちが強かった場合など、申し訳なくて退職を言い出せない気持ちもあります。家族や親戚、知人などの紹介で入社した会社なら、なおさら言い出せない気持ちも強くなるでしょう。そのため、退職するなら上司や同僚などに直接会わずに、会社を辞めたいと考え退職代行サービスを利用するケースも考えられます。また、退職するためのやり取り自体に、時間や労力を使いたくないという場合も、サービスの利用を検討する傾向にあります。このように、サービス利用の理由が自分側にある場合、民間の退職代行業者でも対応可能です。
2-2 会社に原因がある主な理由
退職代行を利用する理由が会社側にあるなら、交渉が必要になる可能性があるので、弁護士に依頼する方がよいでしょう。例えば、ハラスメントに耐えられなくなり、うつ病を発症し退職を考えた場合、労災認定するためには会社に非があると認めさせる必要があります。そのためには、証明できる証拠を揃え会社と交渉する必要がありますが、個人では簡単なことではありません。また、残業代などの未払いが原因で退職する場合も交渉が必要です。退職時、有給休暇をすべて消化したいのに、認めてくれないこともあるでしょう。過去の退職者が、損害賠償請求されていたのを見ていたなら不安を感じるものです。内部通告や転勤拒否などで立場が悪くなっていたなら、自分も何か請求されるのではと感じ退職を言い出せない場合もあります。また、退職を伝えて執拗に拒まれたときも、退職代行の利用を検討するのではないでしょうか。これらは、弁護士による退職代行へ依頼することでスムーズに解決可能です。
3.退職代行民間業者と弁護士のメリット・デメリット
退職代行サービスの利用について、自分の目指す退職パターンでは民間業者がいいのか弁護士がいいのか迷っている人もいるでしょう。ここでは、それぞれについてのメリットとデメリットを紹介していきます。
3-1 民間業者に依頼するメリット・デメリット
【メリット】
民間業者による退職代行サービスにおいての最大のメリットは、弁護士に依頼するよりも料金が安いということでしょう。弁護士による退職代行の相場は5万円からとなっていることが多いですが、民間業者による退職代行の相場は2万5000~3万円前後となっています。また、業者によっては24時間相談できる退職代行もあり、プライベートな時間帯に誰にも知られることなく相談できるのもメリットといえるのではないでしょうか。
【デメリット】
デメリットは、依頼者からの退職の意思を会社へ連絡する行為しかできないということです。前述したように、非弁行為を犯してしまうと罰則を受けることになるので、依頼内容によっては断られてしまう可能性もあります。例えば、退職に関する交渉や書類作成などを行うことは違法になるため対応できません。しかし、「会社に辞めると言い出せない」などの理由でサービスを利用するなら、会社へ連絡してくれるだけの民間業者のサービスで十分ということです。
3-2 弁護士に依頼するメリット・デメリット
【メリット】
弁護士による退職代行は、給与や残業代などの未払い金の請求、退職金の交渉などもすべて任せられます。退職後の各種行政手続きや、会社でのハラスメントが原因で発症した、うつ病などの労災申請も依頼することが可能です。また、退職を伝えたときに、会社から理不尽な損害賠償請求をされた場合でも迅速に対応してくれます。退職を代理人から告げられた会社は、本人へ連絡を取ろうとするのは当然のことではないでしょうか。しかし、弁護士は会社から本人への直接連絡も防ぐことができるので、会社の人と話すことなく退職ができるのです。依頼することで、すべてを一任できることが最大のメリットではないでしょうか。
【デメリット】
すべてを一任できますが、依頼する際の費用が民間業者よりも高めに設定されています。前述したとおり、費用相場は5万円からなので、一般的な業者に依頼するよりも費用が高い傾向となります。また、24時間相談できる業者があるなかで、弁護士対応のサービスは、すぐに対応してもらいたくても即日対応ができない、そもそも退職代行に対応できる弁護士も多くはないという問題もあります。
4.民間の退職代行と弁護士の役割は異なる!目的に合った方法を選ぼう
どちらにもメリットとデメリットはありますが、それらを踏まえても退職代行を依頼するのは、民間業者にするのか弁護士にするのか迷ってしまうこともあるでしょう。スムーズに退職できると考えていても退職にはトラブルが発生する可能性もありますし、懸念していた問題もなくスムーズに進むこともあります。自分にはどのような退職方法が合っているのか悩んでいるなら、複数の退職代行サービスへ無料相談をしてみることがおすすめです。